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顎関節症 顎関節症とは‥‥ 「口が大きく開けられない」「顎がコキコキとかギシギシ音を立てる」「ものを噛むと顎が痛む」といった症状は、顎関節の三大症状といわれています。また、この病気は、頭痛・首が痛い・肩がこるなど顎以外の所に悪影響を及ぼすことがあるといわれています。 顎の関節は、耳の前にあり、噛む・アクビをする・噛みしめるなど顎を動かすごとに動いています。顎は頭・首・肩の間で宙づりになっていて筋肉と腱でつながっています。顎は操り人形のように自由に動かすことができます。顎についている筋肉は、強い大きな筋肉です。噛みしめると強く緊張して頭・首・肩の筋肉まで強く関連し影響し合っています。 例えば噛み合わせのバランスが悪い時など顎のバランスが悪く、ずれると、頭の筋肉・首に強く影響し、頭の位置が不安定になり頭の重心が移動し、頭→首→背中→腰→足と体全体の重心のバランスをくずし易くなります。(代償性側わん症)そのため偏頭痛・首が痛い・肩がこる・背中の痛みなどがおこりやすくなります。 また、反対に足や腰や背中や首が曲がっていて真っ直ぐな姿勢がとれないと、顎の位置がずれることがあります。
*車のタイヤの空気圧のバランスが悪いと、ハンドルが左や右にぶれやすく、音がきしんで出たり、真っ直ぐに走れずに肩がこるのに似ています。
*また、靴が左右違ったり、片方の足にまめがでて、バランス良く踏ん張れないと、足首、膝、腰が不安定になり痛みが出たりするのに似ています。
顎関節症の発症 | 小学生 | 7% | | 中学生 | 18% | | 高校生 | 20% | | 成人 | 30% |
顎関節症の症状 ●顎関節症の三大症状 顎関節症の3大症状は、「口を開けると顎が痛い」「顎ががくがくして音がする」「口が開けにくい」です。また、頭痛・肩こり・背中の痛み・めまい・腰痛などの筋肉痛を伴うことがあります。 ●顎関節症の報告のある症状( 症状による分類 ) 1)咬合関連症候群のグループ(主に筋肉症状) 首のあたりに不快なコリや痛みを感じることがある 首の動きが悪くつっぱる感じや、疲れてこる感じがある 肩こりが強くて、もんでもらいたい 血圧が高い よく寝違い症状、ムチウチ症状を起こす 頭痛がひどく薬をのむ、飲みたいほど…(特に後頭部やこめかみのあたりは) こめかみ、頬(ほほ)、後頭部が痛みやすい 耳鳴り、めまいがよくある 耳がつまる感じがよくある 鼻がつまる感じがある 目の奥が痛む、目が充血しやすく、まばたきしやすくなる 背中、腰などよく痛む 2)顎関節内障のグループ(主に関節付近の症状) 口を開けたり閉じたりしにくいことがある 口が真っ直ぐ大きく開きにくい 真っ直ぐ開かずにくねくねしたり、片方に曲がったり、閉じるときも曲がる 口を開けたり閉じたりするときコキン・ジャリシャリと音がする 顎がひっかかって口が開かない感じがある あくびをした時や食事中に、ときどき頬か耳の前が痛む 右・左と顎を動かしたときに動きにくい方がある 3)生活習慣のグループ(主に生活習慣の問題と顔首などの変形) よく歯ぎしりをするといわれる 片側ばかりでよく噛む傾向がある(右か左) 頬づえをよくする 笑ったときに片方の唇が動きやすい 左右どちらかのえくぼ、鼻のしわが目立つ 寝ているときにいびきをよくかく 鼻やのどが悪く、口で呼吸する 姿勢が悪く、写真を撮るときに肩が下がっているといわれる 寝相が悪く、真っ直ぐに寝つかれない テレビをいつも同じ姿勢で同じ位置から見ることが多い 顎関節症 症状別アドバイス(前述で紹介した症状別のアドバイス) 1)咬合関連症候群のグループ(主に筋肉症状) 筋肉の緊張性状態、神経の圧迫、自律神経の興奮の症状です。(筋、筋膜痛) 一件顎関節症の症状?と思われる方も多いと思いますが、噛む筋肉、咀嚼筋のバランスが悪いために起こり、筋肉の緊張状態が続くときの症状です。咀嚼筋は強い疲労しにくい筋肉で、表情筋と呼ばれる筋肉、首の回りの筋肉、頭を支える筋肉、肩の回りの筋肉と連動していますので、噛むバランスが悪かったり、ストレスがかかった時に、くいしばりが強かったりする時に起こります。姿勢が悪く治す時に、「顎を引け」とよくいいますが、顎は、姿勢反射と言う神経系と関係し首の頚反射と密接な関係があります。 咀嚼筋のバランスの悪さは、顎の関節だけでなく、首の回りの筋肉を緊張させ、頚椎の圧迫が起こりやすくなります。そのためムチウチ症状と大変似た症状です。噛む力のバランスの悪さが、噛む力/食いしばりが、ムチウチ症状を起こさせています。歯の回りの歯根膜神経は、自律神経(交感神経、副交感神経)と密接に関係し、自律神経失調症の症状と関連が高いのです。 また、咬合関連症候群のグループ(主に筋肉症状)は、ストレスでも、疲労でも、年齢が高くなって筋肉の弾力や回復力が無くなってもおこります。また、体の硬い人でもなりやすいですし、枕や寝具が合わないことでも、子供では成長痛、運動不足でも起こりますので鑑別が必要になります。咀嚼筋のバランスを、触診または筋電図で調べ、噛む力咬合力の負荷をかけたり減らしたりして、筋触診して調べてみる運動負荷試験(咬合負荷、増加と軽減)で調べます。 2)顎関節内障のグループ(顎関節内障/主に関節付近の症状) 「顎関節内障」と呼ばれ、顎関節の内部周辺が、変形してきて動きのバランスが悪くなってきている状態です。 関節の音がしたり、引っかかったり、あくびをするとガクガクしたり、顎が閉じにくくなったり、はずれやすくなったりしていきます。つまり口を開けたり閉じたりしたときに、スムーズに動きにくいのです。「ゆっくり口開けテスト」「顎の振り子テスト」を鏡の前でしてみて下さい。真っ直ぐに開きますか。真っ直ぐに開けているつもりで大きくずれる(右や左に)ほど関節の状態の変形が疑われます。出来るだけバランスのよい状態にして、リハビリしていくことが大切です。 咬合関連症候群と顎関節内障の関連性 咬合関連症候群のグループ(主に筋肉症状)と顎関節内障のグループ(主に関節付近の症状)の症状は、独立して起こったり、混合して起こったりしています。つまり、「頭痛、肩こりはするが、関節症状がない」(咬合関連症候群)、「関節の音がするが、肩はこらない」(顎関節内障)「口が開けにくく、ガクガクし、肩もこる」(混合型)です。 顎の関節に、なんの症状もない咬合関連症候群は、非常に見落とされがちで、日本では専門学会でも顎関節症というかはときどき問題にされています。日本で顎関節症というと、8割は顎関節内障のグループ(主に関節付近の症状)か混合です。統計は、ほとんど関節付近の症状があるものが中心です。 アメリカでは逆で、咬合関連症候群のグループを主に来院することが多く、患者さんの苦痛、痛みの程度で分類し、治療の中心は、顔面と頚部の筋肉筋膜症状がおもです。ですから、統計で、顎関節症といってもどんな統計をとっているかで、発現頻度が変わってきます。 3)生活習慣のグープ 生活習慣癖と顔、首の変形を聞いてみました。生活習慣、姿勢が悪いために、顎関節にも影響を与えている事も考えられます。また、顎関節症のために症状が起こりやすかったりもするので、どちらが原因かは分かり難いのです。ただ関連が強く、治療とフィールドワークの研究が必要です。顔の骨の変形(顎変形症)は、生活習慣なのか、噛む力のバランスの悪さか、遺伝的な問題なのかも研究が必要です。小児の噛む力のバランスとの研究も必要です。 顎関節症の主な原因‥‥ 噛み合わせのバランスが悪いことでストレスがかかり、食いしばりが強い時に起こります。噛み合わせのバランスが悪い原因には、噛みやすい方でばかり食べる時・口で呼吸しやすい時・歯並びが悪い時・むし歯の治療で詰め物・歯にかぶせる物のバランスが悪い時・頬づえなどのクセが強い時などがあげられます。 一見歯並びが良くて歯並びを治す必要がないような方にも顎関節症の場合がありますし、不正咬合の方でも顎関節症でないこともあります。 また顎の位置が悪くなる姿勢(足、腰、背筋が曲がっている不良姿勢時)でいると治りが悪くなります。寝癖、うつぶせ寝は、良くありません。 顎関節症の治療 第一段階 顎の体操 ・ 理学療法 第二段階 マウスピース(スプリント)というプラスチックの装置で顎の位置を補正する 第三段階 冠をやり直す ・ 歯列矯正の治療 「 顎関節症に関するガイドライン 」
疑義事項に対する回答について 顎関節症のガイドラインの検討 [補綴,外科,障害者] *アンダーラインは責任学会
1.治療対象と治療目標(提案) I 治療対象 最大開口域については35mm未満とし,疾病および顎関節症症状に起因する日常生活支障については「なし」,「軽度」,「中等度」,「重度」の4段階に分けて,治療の対象を(「軽度」),「中等度」および「重度」とする(表1). コメント:軽度,中等度,重度の分類方法は各施設で異なり,また,治療対象も異なっている.特に軽度障害にはまず病態の説明と経過観察をすることが多く,「中等度」および「重度」障害に対する治療とは異なる.こうした不確定な内容を含めることは健康保険のガイドラインとしては不適当との考えもあるが,治療対象の目安,治療目標,二次医療機関紹介基準の設定から考えると何らかの分類と基準が必要と思われる.勿論,治療対象がどうかは患者の希望や治癒の見込みを含めて総合的に判断されるべきである.また,心因性の症例に対する対応をどのようにするかの方針が必要かと考える.
II治療目標 最終治療目標は最大開口域40mm以上で,疼痛と日常生活支障は「なし」とする. また,最大開口域35mm以上で,疼痛と日常生活支障は「軽度」であれば経過観察とする.
(通常の一次医療機関での治療対象と高次医療機関への紹介基準) 通常の一次医療機関での治療対象 ・軽度ないし中等度機能障害 高次機関への紹介基準 ・初診時中等度および重度機能障害 ・初診時中等度機能障害で,その後に悪化する場合 ・初診時中等度機能障害で,その後4~8週で軽度機能障害にまで改善しない場合 ・骨変形のある場合(著しい場合) ・再発を繰り返す場合 コメント:一次,高次医療機関については地域の医療連係の確立が必要. 表1 :顎関節機能障害度分類 | 障害度 | 最大開口域(mm) | 疼痛 | 日常生活支障度 | | | | | | | 障害なし | 40~ | なし | なし | | 軽度障害 | 35~39 | 軽度 | 軽度 | | 中等度障害 | 30~34 | 中等度 | 中等度 | | 重度障害 | ~29 | 重度 | 重度 | 注: 最大開口域,疼痛および日常生活支障度の最も障害の重い項目により,その個人の障害度とする.
2.症型別検査項目と治療方法(提案)
文中のアンダーラインは一次医療機関での治療内容を示す
● I型 検査項目:回転パノラマX線写真,シュラー,筋電図 治療方法:薬物療法(非ステロイド性消炎鎮痛剤*,筋弛緩薬**),スプリント療法(スタビラ イ ゼーションスプリント),理学療法(顎運動訓練,レーザー,温熱療法,マイオモニター,TENS),カウンセリング,咬合改善治療*** *筋弛緩薬は現時点で適応がなし
● II型 検査項目:回転パノラマX線写真,シュラー,断層,MRI,関節鏡検査 治療方法:薬物療法(非ステロイド性消炎鎮痛剤*),スプリント療法(スタビライゼーションスプリント),咬合改善治療***,顎関節洗浄療法
● III型 検査項目:回転パノラマX線写真,シュラー,断層,MRI,関節鏡検査 治療方法:薬物療法(非ステロイド性消炎鎮痛剤*),スプリント療法(スタビライゼーションスプリント・リポジションスプリント),顎運動訓練,咬合改善治療***,マニピュレーション****,顎関節洗浄療法,鏡視下手術,開放手術
● IV型 検査項目:回転パノラマX線写真,シュラー,断層,MRI,X線CT,関節鏡検査 治療方法:薬物療法(非ステロイド性消炎鎮痛剤*),スプリント療法(スタビライゼーションスプリント),顎運動訓練,咬合改善治療***,マニピュレーション****,顎関節洗浄療法,鏡視下手術,開放手術
● V型 検査項目:回転パノラマX線写真,MRI,性格ないし人格検査 治療方法:薬物療法(マイナートランキライザー*****),カウンセリング
* 非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)の中で顎関節症が適応症として認められているのは,現在のところ,インドメタシン(Indacin Capsu1es)とアンフェナクナトリウム(Fenazox Capsules)のみです.これらのNSAIDsの副作用として,最も多いのは消化器障害です.アンフェナクナトリウムは1986年より販売が開始され,顎関節症に対する投薬に関しては,今回渉猟した範囲では口腔外科より3編の論文発表があるが(1988.1988.1991),2週間の連続投与で消化器障害の発現率は21.6%(47例中8例),22.6%(27例中6例),7.4%(54例中4例)でした.インドメタシンは1966年より販売されているが,顎関節症患者多数例に投与した文献は見つけることができませんでした.その効能書によれば副作用のうちでは消化器症状が最も多く15.8%です.従って,現在顎関節症が適応となっている2割とも消化器症状を呈しやすいので投与しづらいのが現状です.顎関節液の分析により,顎関節症には炎症が関与していることは明かとなってきています.従って,副作用が少なく,効果的なNSAIDsが臨床上必要です.
** 現在のところ,顎関節症が適応症となっている中枢性筋弛緩剤はありません.日本顎関節学会の分類による顎関節症I型は「咀嚼筋障害」と定義され,頚肩腕症候群に類似した症状を呈しているにも関わらず,中枢性筋弛緩薬の投与ができないのが現状です.
*** 咬合改善治療には,補綴治療,矯正治療,咬合調整などが含まれる.いずれの場合もスプリント等で症状の改善が得られ,下顎位の安定が確認された後に必要に応じて慎重に行う.
**** マニピュレーションには関節注射を行う場合と行わない場合があります.関節注射は高次医療機関で施行されることが望ましい.
***** マイナートランキライザーについては現時,点では顎関節症で適応症が認められていません.よって別病名となります.
以上のごとく顎関節症に対して適応症ある薬物は極めて限られています.顎関節症の患者のため,是非,顎関節症に対する治験を行い,顎関節症への適応症拡大が望まれます.
3.顎関節症におけるスプリントの疑義に関する提案
従来,顎関節症の治療に用いられてきたスプリント(別名:プレート)は健康保険上では,「咬合挙上副子」に準じて請求されてきた.しかしながら,顎関節症の治療と咬合挙上とは必ずしも関連性がないので,「咬合挙上副子」とせず「オーラルスプリント」ないし「オーラルアプライアンス」とすることがことが望ましく,なかでも咬合面に装着するするものをとくに「オクルーザルスプリント」ないし「オクルーザルアプライアンス」または単に「スプリント」ないし「アプライアンス」とすることが望まれる.例えば,「顎関節症治療に用いるスプリントないしアプライアンス」である.最近,欧米においてはアプライアンスの使用が多くなっており,これらも視野に用語に対する検討の必要がある.
I 呼称について 「オクルーザルスプリントocclusal splint」ないし「オクルザールアプライアンスocclusal appliance」あるいは単に「スプリント」ないし「アプライアンス」とする. *同義語:バイトプレート,バイトスプリント,オクルーザルプレート(旧来の用語)
II 定義 スプリントないしアプライアンスは歯列咬合面を被覆する暫間的可撤性の口腔内装置であり,顎関節症の診断と治療に用いられる.その種類には,スタビライゼーションスプリント,リポジショニングスプリントなどがある.
III 目的 1) スプリントないしアプライアンス療法は顎口腔機能異常の診断治療に用いられる. またスプリント療法は咬合治療に属し,暫間的な咬合治療として用いる. 2) 異常な筋活動の是正,神経筋機構のバランスの回復,筋緊張の緩和を目的に使用される. 3) 下顎窩における下顎頭の位置を修復し,顎関節の安定と安静により顎関節症状を改善する. 4) 顎関節への負荷を軽減する.
IV 対象疾患(適用一覧表参照) 1) 顎関節症 2) 顎関節炎 (リウマチ性顎関節炎を含める)
V 各種スプリントないしアプライアンスの特長 1) スタビライゼーションスプリント 均等な咬合接触を付与することで下顎の安静を得ることを目的として,上下顎歯列のいずれかの咬合面全体を被覆する全歯列型スプリントである. 異常(症状を現す)咬合からの解放を促進し,咀嚼筋の安定を得る.そして下顎頭と下顎窩との関係を修正する.また,顎関節部への負荷を軽減する.小児には注意して使用. 2) リポジショニングスプリント 下顎頭や関節円板の位置を整位するためのスプリント.通常,下顎位を前方位で固定する前方整位型スプリントがもちいられる.スタビライゼーションスプリントに比較して下顎位の変化が起きやすい.また,前方位をとることにより咀嚼筋の負担が増加する場合がある.
VI 使用上の注意事項 1.開始期には1~2週,以降は3~4週毎の診察および検査. 2.慎重な経過観察のないまま,長期にわたる使用はしない. 3.下顎位や咬合接触の変化が起こることがあるため,使用開始前の咬合接触状態を診査記録しておく. 4.発育期の小児には歯列の不正を惹起することがあり,注意して使用すべきである.
VII スプリントないしアプライアンスの作製 スプリントないしアプライアンスの作製には初期の咬合位の決定が重要である.関節円板と下顎頭との位置関係,下顎位の上下,左右および前後的な位置関係を,目的に応じて患者の自覚的症状の変化を確認しながら,十分に時間をかけスプリントないしアプライアンス用咬合位の決定が注意深く行われる.これにより得られた患者固有の咬合位においてスプリントないしアプライアンスは作製される.作製法には間接法と直接法があり,材質としては加熱重合レジン,常温重合レジン,スプリントないしアプライアンス用光重合レジンなどが用いられる.
VIII スプリントないしアプライアンスの調整 この時点で適正な咬合が得られることは少なく,この診断,治療の基本となるスプリントないしアプライアンスを経時的に,患者の機能や症状を掌握しながら微調整が行われる.また,失われた患者固有の咬合の回復には,患者の咀嚼習慣,習癖を念頭に自他覚的症状の改善を確認しながら,スプリントないしアプライアンスの削合や即時重合レジンの添加を行って調整する.この際,いたずらに歯牙の削合調整を行うべきではない. なお,スプリントないしアプライアンスの調整は一週間以上の間隔をあげることを標準とする.
IX スプリント療法の治療効果判定 適切なスプリントないしアプライアンスの装着,調整により,あるいは症例によっては非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)の併用によって,比較的早期に症状の改善が見られる.スプリント療法は暫間的咬合治療であり,数度の調整あるいは3ヶ月間程度で改善の見られない症例は,速やかに高次医療機関へ対診を仰ぐ. 高次医療機関においては,症状により画像診断,顎関節鏡検査,顎関節腔洗浄などが行われる.
 | | スプリントないしアプライアンスの適用一覧表 | 病名 | 代表的症状 | 咬合副子の適用(目的) | | | | | | I 顎関節症 | | | | 症型 | | | | I型:咀嚼筋障害 | 筋痛(持続性) | ○(筋緊張の緩和) | | 筋鈍重感 | ○(筋緊張の緩和) | | 開閉口時筋痛 | ○(筋緊張の緩和) | | 筋痛による開口障害 | ○(筋緊張の緩和) | | | | | | II型:関節包・靱帯障害 | 顎関節痛 | ○(顎関節部の安静) | | | | | | III型:関節円板障害 | 顎関節痛 | *リ○(顎関節部の安静) | | クリッキング(雑音) | *リ○(円板整位の顎位保持) | | (復位性円板転位:雑音) | *り○(円板整位の顎位保持) | | ロック | *リ○(円板整位の維持) | | 顎関節痛のない開口障害 | *リ○(円板整位後にのみ有効) | | | | | | IV型:変形性顎関節症 | 顎関節痛 | ○(顎関節部の安静) | | クレピタス(雑音) | ○(顎関節部の安静) | | 顎関節痛のない開口障害 | ○(顎関節部の安静) | | | | | | V型:その他 | 他覚症状を伴わない顎関節痛・筋痛 | | | | | | | | | | | II 顎関節炎 | 顎関節痛 | ○(顎関節部の安静) | 1)表中○は適用. 2)表中適用印前の*リはスタビライゼーションスプリントまたはリポジショニングスプリント の適用を示す.他はすべてスタビライゼーションスプリントのみが適用. 3)顎関節症の分類は日本顎関節症学会(2001改訂)による. |  | | 付一1:顎関節症の症型分類(2001改訂) 1) 顎関節症I型:咀嚼筋障害 masticatory muscle disorder 咀嚼筋障害を主徴侯としたもの 2) 顎関節症II型:関節包・靱帯障害 capsule-ligament disorders 円板後部組織・関節包・靱帯の慢性外傷性病変を主徴侯としたもの 3) 顎関節症III型:関節円板障害 disc disorders 関節円板の異常を主徴侯としたもの a:復位を伴うもの b:復位を伴わないもの 4) 顎関節症IV型:変形性関節症 degenerative joint disorders, osteoarthritis, osteoarthrosis 5) 顎関節症V型:その他,I~IV型に該当しないもの 付一2:顎関節症の分類と鑑別診断のポイント (経過,症状,画像を含む) | | 鑑別診断のポイント | | 1) 咀嚼筋障害(顎関節症I型) | | 咀嚼筋障害を主徴としたもの | 筋肉部持続的鈍痛 | | | | | 2) 顎関節部障害 | | ① 関節包・靱帯障害(顎関節症II型) | 関節部機能痛・開口障害 | 円板後部組織・関節包・靱帯の慢性 外傷性病変を主徴侯としたもの | 骨変化画像所見なし | | ② 関節円板障害(顎関節症III型) | | III型a:復位を伴う円板転位 (復位性円板転位) | クリッキング音・関節部機能痛 骨変化画像所見なし | III型b:復位を伴わない円板転位 (非復位性円板転位・クローズドロック) | クリッキング音の既往・ 突発性開口障害・ 関節部機能痛 骨変化画像所見なし | ③ 変形性関節症(顎関節症IV型) 骨変形を主徴侯としたもの | 骨変化画像所見・ クレピタス・関節部機能痛・ 開口障害 | | | | | 3)その他(顎関節症V型) | | 以上のいずれにも分類されないもの | | |
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